初めて WordPress でブログを作るとき、最も悩ましいのは「どのプラグインをインストールすればよいか」だと思う。インストール自体は簡単でも、選別するのは難しい。
「WordPress プラグイン おすすめ」などで検索して出てくる記事を参考に、あれもこれもインストールするのはおすすめしない。表示が遅くなる・エラーが出るといった不具合の元になるからだ。
本記事では目的別に厳選した定番プラグインを紹介しているが、後述する選び方と注意点をしっかり読んだ上で導入を検討してほしい。
当サイト(Reinx)で使用しているプラグインは、以下の記事で紹介しています。
目次
ブログ運営に最低限必要なプラグインは 2 つだけ
最低限インストールしておくべきプラグインを先に紹介する。日本語でのブログ運営において絶対に外せないのは 2 つだけだ。
Akismet Spam Protection

Akismet Spam Protection (Akismet スパム保護) – WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語
「Akismet」はブログをスパムから守ってくれるプラグインで、WordPress 本体インストールと同時にインストールされている。
有効化したのち、ユーザー登録・連携設定しておこう。一度登録しておけば別の WordPress ブログでも同じアカウントを使える。
コメントまわりのスパムブロックほか、問い合わせフォームプラグインと連携させればスパムメールの受信を軽減できる。WordPress はブログ作成直後からスパム攻撃の的になるため、早い段階で設定しておきたい。
WP Multibyte Patch

WordPress は英語圏で作られたブログシステムのため、日本語環境では一部正常に動作しないことがある。これを解決するプラグインが、「WP Multibyte Patch」だ。
このプラグインを使わなくても運営に大きな支障をきたすことはないが、海外製テーマ利用時や、画像ファイル名を日本語のままアップロードするときに適宜修正してくれる。
インストールして有効化するだけで動作するので、初心者がプラグインをインストールする練習にもよいかもしれない。
その他のプラグイン
「Akismet」と「WP Multibyte Patch」以外は、目的に応じて導入を検討しよう。
以下、目的別に定番のプラグインを紹介していく。選定基準は以下のとおり。
- どの環境でもおおむね正常に動作する
- 定期的に更新されている
- 日本語に対応している or 日本語の解説記事が多い
絶対にエラーが起きないわけではないから、目的に合ったものを一つずつインストールして試してみてほしい。なお、検証は以下の環境で行った。
サーバー | エックスサーバー |
---|---|
PHP バージョン | 7.4 |
WordPress バージョン | 6.0.3 |
テーマ | Twenty Twenty-Two |
管理系おすすめプラグイン

管理系プラグイン
ブログを運営管理する上で、導入すると便利なプラグインを紹介していく。
項目によっては複数のプラグインを掲載しているが、どれを選択すればよいか迷ったときは一つめのプラグインを導入しておけば問題ない。
問い合わせフォームを設置したい
問い合わせフォーム設置プラグインは、以下のどちらかを入れておけば間違いない。
連絡先としてメールアドレスを載せておくのでもよいが、スパムメールがたくさんきてしまうし、ユーザーにとってはメールアドレスをいちいちコピーする手間が生じる。
ブログの信頼性を高めるためにも、メールフォームは忘れず設置しておこう。
リンク切れを監視したい
ブログ内のリンク切れを検知し、メールや管理画面で知らせてくれるのが以下のプラグインだ。
運営期間が長くなると、かなりの確率で「リンク切れ」が起きるようになる。原因は様々だが、リンク先のサイトが運営を止めてしまったり、ドメインや URL を変更したケースがほとんどだ。
全記事のリンクが生きているかどうか手動でチェックするのは難しいので、プラグインを入れて自動化しておこう。たまに誤検知することがあるので、半年に 1 回ぐらいは dead-link-checker.com などの専用チェックツールでも確認しておくとよい。
不要なゴミデータを削除したい
WordPress は、裏側であらゆるデータを保管している。まったく使わなくなったゴミデータを削除したいなら、以下のどちらかを使ってみよう。
ゴミデータには、リビジョンや一時的なオプション、削除したプラグインの残りかすなどがある。このデータが蓄積されるとブログの表示速度に影響するから、定期的に掃除しておきたい。
プラグインで定期的に自動削除するのも可能だが、設定を間違えると必要なデータまで消してしまう。慣れるまでは手動で実行したほうがよいだろう。
XML サイトマップを自動生成したい
おもに検索エンジン用となる XML サイトマップを自動生成したい場合は、以下のどちらかを入れておこう。
WordPress 自体にも XML サイトマップ生成機能はあるが、任意のページを除外するなどの設定機能は用意されていない。プラグインを導入すれば、そのコントロールが可能になる。
ただ、数百記事ぐらいの個人ブログであれば XML サイトマップを生成する必要はない。プラグインを入れたから検索順位が上がる、ということはないので、誤解のないよう注意してほしい。
ブログ記事が Google 検索のインデックスに登録されない原因と解決策
バックアップを自動でとりたい
WordPress そのものには自動バックアップ機能がない。サーバーで用意されていることもあるが、自分でバックアップをとっておくのが最も確実だ。以下のどちらかを入れておこう。
どちらのプラグインも手動または自動でバックアップできる。復元操作が簡単なのは「UpdraftPlus」だ。
運営期間や記事数と比例して、バックアップファイルの容量はどんどん大きくなる。サーバーに保存しておくと容量が圧迫されるので、心配であれば Dropbox や Google Drive にデータを保存しておくとよい。
Google アナリティクスを導入したい
Google アナリティクスを設置するために、テーマファイルの編集が必要になる場合がある。導入が難しく感じるなら、以下のどちらかを入れて設定しておこう。
「Site Kit」は Google 謹製のプラグインで、アナリティクスほか Search Console や AdSense などの連携も可能だ。しかし、表示速度が遅くなる傾向にあるので、各データはそれぞれの管理画面で確認するほうがよいと思う。
なお、テーマに Google アナリティクス設定機能がある場合はそちらを使ったほうがよい。テーマでもプラグインでも設定してしまうと、二重カウントとなり、正常な計測ができなくなる。
【要注意】Googleアナリティクスの直帰率が1ケタの原因はトラッキングコードの重複
セキュリティを強化したい
WordPress は、開設直後であっても攻撃される可能性がある。管理画面への不正ログイン対策など、プラグインで強化しておこう。以下のどちらかを入れておけばよい。
プラグインを導入しても、本体やプラグインを更新しないまま使い続けていると意味がなくなってしまう。管理画面以外にも侵入経路があるので、更新はきちんと行っておこう。
なお、「SiteGuard」は有効化と同時にログインページの URL を自動的に変更してしまう。設定項目を確認しておかないと管理画面にログインできなくなる可能性があるので、解説記事などを参考に設定してほしい。
人気記事ランキングを自動で表示したい
サイドバーなどに人気記事ランキングを自動表示したい場合は、以下のプラグインがおすすめだ。
テーマにランキング生成機能がある場合は、そちらを使ったほうがよい。逆に推奨プラグインとなっているテーマもあるので、テーマの公式サイトを確認しておこう。
記事数やランキングデータが蓄積されてくると表示速度に悪影響を及ぼすため、遅いなと感じたらキャッシュ設定を見ておくとよい。
画像を軽量化したい
画像の容量は、表示速度に大きく影響する。表示速度は検索評価の対象にもなるため、できるだけ軽量化しておきたい。以下のいずれかを導入しておこう。
- EWWW Image Optimizer
- Converter for Media – Optimize images | Convert WebP & AVIF
- Imagify – Optimize Images & Convert WebP
いずれのプラグインも、見た目を劣化させることなく容量を削減してくれる。また、今後の標準的なフォーマットになるであろう WebP(ウェッピー)形式への自動変換も可能だ。
もっと軽量化したい場合は、アップロード前に Squoosh などの専用ツールで画像を軽くしておくとよい。
投稿補助系おすすめプラグイン

投稿補助系プラグイン
ここからは、記事の執筆に便利なプラグインや、記事の表示をリッチにするプラグインを紹介していく。
投稿補助系はテーマの仕様に大きく関わるため、執筆にさほど不便を感じていないのであればとくに入れなくてもよい。
記事に目次を入れたい
記事の冒頭に目次を表示しているブログは多いが、たいていは自動で表示している。以下のどちらかを入れておけば、設定に基づいて自動表示してくれる。
テーマに目次生成機能があるなら、そちらを使ったほうがよい。デザインや機能の問題でどうしてもプラグインを使いたい場合は、テーマ側の機能を OFF にしておこう。
目次を生成すると、ユーザーが記事の内容を把握しやすくなるだけではなく、検索結果に見出しへのリンクが表示される SEO 効果も期待できる(※ 検索順位が大きく伸びるわけではない)。
ブロックエディターの装飾を増やしたい
現在、WordPress は「ブロックエディター(Gutenberg)」が標準となっている。素の状態でもリッチな記事を作成できるが、以下のプラグインを入れればマーカーやボックスなど、より豊かな表現が可能だ。
専用テーマまたは有料版にアップグレードすると全機能が解放されるタイプがほとんど。
上記すべてのプラグインを入れても干渉することはなかったが、表示速度に悪影響を及ぼす。また、どのアイコン・ブロックがどの装飾かわかりづらくなるので、必要なものだけ入れておこう。
ブロックエディターで柔軟に表を作成したい
現行のブロックエディターは、複雑な表作成に HTML の知識を要する。それを補ってくれるのが以下のプラグインだ。
指定したセルの背景色設定・各列のサイズ変更・セルの結合など、HTML や CSS を知らなくてもエディター上で調整できる。
設定項目が多数あるので、実際に触って慣れていこう。プラグインの有無に関わらず、表はスマホでの表現がかなり難しい。できるだけシンプルな表作成を心がけてほしい。
WordPress プラグインの選び方と注意点
以上、目的別に紹介してきたが、2022 年時点で WordPress 公式ディレクトリ に登録されているプラグインは 6 万以上ある。公式ディレクトリに登録されていないものを含めれば、その数倍はあるだろう。
プラグインは、どのブログでも完璧に動くわけではない。以下の利用環境と相性があり、機能が干渉するなど不具合が出る可能性もある。
- サーバー
- WordPress 本体バージョン
- WordPress テーマ
- 他の WordPress プラグイン
ブログによって環境は異なるため、どのプラグインが正常に動くかは一つずつ実際に確かめていくしかない。最低でも、導入前に以下の 4 つだけは留意しておこう。
- テーマが公式に勧めているものを使う
- 何年も更新されていないものは使わない
- プラグインを勧めている記事の更新日を確認する
- 新しいプラグインを導入する前に必ずバックアップをとる
#1 テーマが公式に勧めているものを使う
利用しているテーマの公式サイトで、プラグインに関するページがないかチェックしておこう。テーマによっては必須となっているプラグインもある。おすすめが紹介されていれば、そのなかから選んでおくのがよい。
- SWELLで非推奨・不必要なプラグインと、推奨プラグインについて | WordPressテーマ SWELL
- Cocoonテーマとあわせて使用するのにお勧めなプラグインまとめ | Cocoon
- お勧めのプラグインとお勧めしないプラグイン | Luxeritas Theme
公式サイトで言及されていなくても、「テーマ名 プラグイン」で検索すると、そのテーマにおすすめのプラグイン紹介記事が見つかるはずだ。サーバーまで同じとはかぎらないが、テーマと機能が干渉するリスクは減らせる。
#2 何年も更新されていないものは使わない
何年もアップデートされていないプラグインは、最新版の WordPress で正常に動作しない可能性がある。また、セキュリティ面でもリスクを伴う。
プラグインインストール前に、公式ディレクトリで最終更新日や対応バージョンを確認しておこう。
WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語

更新が止まっていると思われるプラグインは、上部に注意書きが表示されている。

WordPress は、ログインパスワードを厳重に管理しておけば安心、というわけではない。古いプラグインが原因でハッキング被害に遭うこともあるため、十分に注意してほしい。
旧バージョンや公式ディレクトリから削除済みのプラグインを勧めている記事をたまに見かけるが、WordPress やサーバーに関する知識がないなら利用は絶対に避けるべきだ。
自分が被害に遭うだけならまだしも、攻撃の踏み台にされて他のブログにも迷惑をかける可能性がある。この場合、プラグインを使用しているブログ運営者の責任が問われることになる。
#3 プラグインを勧めている記事の更新日を確認する
「WordPress おすすめプラグイン」系の記事を参考にするとき、できればその記事の更新日もチェックしておこう。Google 検索結果画面で期間を指定しておくのもよい。

検索結果には最新の情報のみ表示されるわけではないし、情報の正確性が保証されているわけでもない。何年も前の記事であれば、紹介されているプラグインが古くて使えなくなっている可能性がある。
かと言って、記事が新しければ安心というわけでもない。WordPress の知識がないにも関わらず検索で見つけた情報を焼き直して書いた、という記事もあるからだ。前述のとおり公式ディレクトリもきちんと調べるクセをつけておきたい。
#4 新しいプラグインを導入する前に必ずバックアップをとる
プラグインをインストールする前に、必ずバックアップをとっていつでも元に戻せるようにしておこう。できれば FTP の操作も習得しておくと、以下のトラブルに自分で対応できる。
- 管理画面にエラーが表示される
- エラーは表示されないが何らかの不具合が生じる
- ブログが表示されなくなる(真っ白になる)
- 管理画面に入れなくなる
管理画面に入れるなら、プラグインを削除するだけで復元できる。厄介なのは管理画面に入れなくなったときで、その状態になるとバックアップファイルから復元するか、FTP でプラグインを削除するしかなくなる。
利用しているサーバーにバックアップ機能があるか、そのバックアップデータからどのように復旧するのか、という点だけでも調べておいてほしい。専門家に頼めばすぐ復旧できるが、時間もお金もかかってしまう。
さいごに
繰り返しになるが、プラグインをあれもこれも入れてしまうのはやめたほうがよい。とくに高速化系プラグイン・SEO 系プラグインはトラブルの元になることが多いため、本記事では紹介していない。
まずは「Akismet」と「WP Multibyte Patch」を有効化し、その他は目的に応じて導入しよう。
プラグインを駆使すれば、ブログだけではなく会員制サイトや掲示板サイトなどいろいろ作れる。機会があればそうした中・上級者向けのプラグインも紹介していくので、リクエストがあれば送ってほしい。