ブログ記事の最適な文字数について調べると、「検索上位を目指すなら最低 3,000 文字必要」「キーワードによっては 500 文字でも十分」など、様々な見解・ノウハウが出てくる。

結論から言うと、記事の最適な文字数に正解はない

文字数というのは「そのトピックについてユーザーが知りたいであろう情報を徹底的に書いた結果」であり、最低でも何文字書けば検索評価が上がりやすい、と考えるのは危険だ。事例を交えながら詳しく解説していく。

長文コンテンツほど検索上位になりやすいという誤解

「長文コンテンツほど検索上位になりやすい」という思い込みは、Google 以外の第三者が発信している検索結果分析レポートの一部がきっかけになっていることが多い。

たとえば Ahrefs は、コンテンツの長さと検索順位には強い相関関係が見られるとしている。

Longer content will get you better rankings in the SERPs. This has been proven by multiple studies over several years.

The Non-Writer’s Guide To Creating “BIG” Blog Content

これだけを見れば、文字数が検索上位に入るための必須条件の一つと勘違いするかもしれない。その勘違いが伝言ゲームでさらにねじ曲がり、「長文を書くほど上位になりやすい」と断言されるまでになっている。

しかし、コンテンツの長さと検索順位は「相関関係」であって「因果関係」ではない。検索結果分析でわかるのは次の 2 点だ。

  • 一部クエリで検索上位になっているページは文字数が多い傾向にある
  • かと言って、文字数を増やせば検索上位に入りやすくなるわけではない

Twitter では、Backlinko の調査記事の一部だけを切り取って都合よく解釈している人を見かける。単語数と検索順位の間に直接的な関係はなかった、と結論付けられている部分もしっかり読んでほしいものだ。

Overall, the average word count of a Google top 10 result is 1,447 words.

However, despite the fact that long-form content tends to be best for link building, we found no direct relationship between word count and rankings.

We Analyzed 11.8 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About SEO

文字数そのものが検索のランキング要因となっていない点については、Google も次のように断言している。

Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか。(そのような設定は存在しません)。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google Developers

本来であれば 2,000 文字も書けば十分な記事なのに、無理やり引き延ばして 3,000 文字にするとどうなるだろうか。ユーザーにとって不要な情報が多く、読みづらいだけの記事になってしまう。その結果、検索順位が上がるどころか下がってしまうだろう。

トピックをどこまで絞り込むかで文字数は変わる

検索順位を決定する要因は 200 以上あり、どの要因がどう影響してくるのか、細かい部分は検索エンジンにしかわからない。定期的に行われているアルゴリズム変更により、要因の特定はさらに難しくなっている。

しかし、根本的な部分は今も昔も変わらない。「その記事が検索ユーザーの意図に応えたものかどうか」が検索順位に大きく関わるのだ。「その記事だけで満足いく回答が得られるか」とも言える。

高品質コンテンツに関する詳細はこちら

何文字書けばよいか、ではなく、次の 2 つを意識すればよい。

  • 各記事のトピックについて検索ユーザーの知りたいことを理解する
  • 知りたいことに合わせて明確な答えを用意する

最終的に何文字になるかは、一つの記事でどのくらいの範囲(トピック)をカバーするかで変わってくる。例として、「卒業式」という大きなトピックをカバーする場合で考えてみよう。「卒業式」というキーワードで検索上位に入り、かつ検索ユーザーに満足してもらうためには様々な情報が必要となる。

  • 卒業式はいつ頃行われるのか
  • 卒業式はどんな服装で参加すればよいのか(性別/年代別/参加者別)
  • どこで着付けを行ってくれるのか
  • BGM は何が一般的なのか
  • 送辞・答辞の文例は

ほかにも無数に考えられるが、仮にそれらすべてを広範囲にカバーする記事を書くとなると、10 万文字をはるかにオーバーする超長文コンテンツになるだろう。1 冊の本になるレベルだ。

では「高校の卒業式に出席する父親の服装」までトピックの幅を狭めた場合ではどうだろうか。「卒業式」という大きな括りと比べれば、情報量はかなり少なくなる。ユーザーが必要とする情報を徹底的に書いても 5,000 文字ぐらいではないだろうか。

もっとも、画像や動画を多用するのか、文章のみで説明するのか、文字数に影響してくる要素は他にもある。

検索ユーザーが満足する情報を徹底的に書いて 5,000 文字になったのなら、それが文字数の正解だ。

文字数が検索順位に関係しない実例

それでもやはり書けば書くほど検索上位に入りやすいのでは、という考え方が抜けきらないのであれば、実際に上位サイトをチェックしてみてほしい。

ラッコキーワード で「ブログ 内部リンク 効果」というキーワードの検索上位ページを調べてみた結果が以下である。
※ 記事本文の文字数ではなく、そのページ全体の文字数がカウントされている

ラッコキーワード「ブログ 内部リンク 効果」調査結果

現時点で検索 10 位以内のページは 4,500 ~ 10,000 文字ほど。文字数が多い順にランク付けされていないのは明白だ。しかし、数値だけを見て都合よく「このキーワードで検索上位に入るには最低 5,000 文字ぐらいは必要そう」と思う方もいるだろう。

では、下表を見てほしい。当サイトで実際にランクインしているページの文字数を、上位 20 サイトの平均文字数と比較したものだ(検索順位は、その記事のメインキーワード)。

ページ順位文字数上位 20 サイト
A1 位3,4297,740
B1 位3,5884,074
C2 位3,2115,588
D2 位5,8349,112
E2 位2,0435,418
F7 位5434,324
G9 位4,3033,916
H16 位10,02711,492

上位 20 サイトと同じくらいの文字数のページもあれば、半分以下で検索上位に入っている記事もある。ページ F のように、明らかに少ない文字数でも検索 10 位圏内に入れるのがわかるだろう。

逆に、上位 20 サイトと同じかそれ以上の文字数でも、ギリギリ 10 位圏内だったり 20 位近いページもある。

「検索ボリュームや競合サイトの強さにもよるのでは」と考えるかもしれない。まったくそのとおりだ。しかしそれは、文字数(情報量)以外にも様々な要因で検索順位が決められる、ということである。

文字数にだけ着目しても何の意味もない。外部被リンクや関連記事の量と質・E-E-A-T・ページエクスペリエンスなど、もっと見るべき点がたくさんある。

競合サイトを上回る文字数にすれば検索上位に入りやすい、という単純かつ間違ったノウハウを信じないでほしい。繰り返しになるが、Google が明言しているとおり、文字数そのものはランキング要因ではない。

ブログの文字数に関するノウハウ

ブログ記事全体の文字数ではなく、記事内の各要素の文字数についても触れておく。

  • 記事タイトルの文字数
  • 見出しの文字数
  • 一行の文字数
  • 一文の文字数
  • 一つの段落の文字数

いずれも検索順位に直接影響するわけではないが、「読みやすいブログ」にするために覚えておくとよいだろう。

記事タイトルの文字数

10 年前は「記事タイトルは 32 文字以内がよい」という明確な目安があった。

これは、当時の Google 検索結果画面と「はてなブックマーク」で表示される文字数が最長 32 文字だったことに由来する。

現在はスマホ検索のほうが主流で、検索結果に表示されるのは 40 文字ほど。Google Discover はさらに多く表示されることがある。

スマホ検索結果で表示されるページタイトル

記事タイトルすべてを表示させたいなら、おおむね 40 文字程度を一応の目安としておけばよいだろう。

40 文字を超えるにつれ検索評価が下がる、ということではなく、たとえ 100 文字近くになってもとくに問題ない。ただし、検索結果で表示される範囲内に主要なキーワードを配置しておくのがおすすめだ。

記事タイトルに関する詳細な解説はこちら

見出しの文字数

見出しの文字数に明確なルールはないが、「見出し=各章のタイトル」と考えると、長すぎるのは好ましくない。

記事タイトルと同じかそれ以下(30 文字ほど)を一応の目安としておけばよいだろう。

なお、見出しに id を振っていると、検索結果にジャンプリンクが表示される場合がある(WordPress はプラグインなどで目次を自動生成すると id が付けられる)。

検索結果に表示されるジャンプリンク

Google が改変する場合もあるが、「パッと見て何のセクションかわかる」ようにしておくのが理想的な長さだ。

一行の文字数

最適な記事本文の一行の長さは、以下のデザイン要素が関わってくる。

  • フォントの種類
  • フォントのサイズ
  • フォントの色
  • 字間(文字と文字の間隔)
  • 行間(一行の高さ)

ユーザー環境がパソコンかスマホでも変わるし、ブラウザの表示幅や各端末の解像度によって読みやすさは異なる。

昔ながらのノウハウでは一行あたり 40 文字ほどが推奨されているが、様々なデバイスでアクセスされることを考えると、ルールを定めるのは難しいと思う(ちなみに、Yahoo! ニュース はパソコン表示時に一行 40 文字となっている)。

当サイトはパソコンからのアクセスが多く、手順解説記事などキャプチャが多いため、拡大しなくても画像を認識できる幅を基準としている。本文の幅は約 800px で、文字数にすると一行あたり 49 文字前後だ。

本文幅を 1,200px など極端に広げると、目線の移動距離が増して読み疲れするかもしれない。自分が読みやすいと思うブログのデザインを参考にしてみよう。

ブログデザインのルールはこちら

一文の文字数

一文(句点まで)の文字数はライティングテクニックに含まれ、教える人によって推奨文字数が異なる。だいたい 35 ~ 60 文字としているところが多い。

あまりに短いと、単調だし幼稚な印象になる。あまりに長いと、ほとんどの読者は読み疲れして離脱してしまう。

以下の 2 つを意識しておけば、それほどこだわる必要はないだろう。

  • 検索ユーザーの目的は「読みたい」のではなく「知りたい」
  • ユーザーは一字一句読まずに、流し読みして目的の情報を探す

まとめると、「ピンポイントで必要な情報を見つけられるようにしておく」のが正解ということだ。

そのためには、一文の文字数より、最適な装飾や、テキスト以外の要素で伝える方法(画像・動画)を覚えたほうがよいと思う。文字数を気にして不自然でぎこちない日本語になるなら、意識せず書いたほうがマシである。

一つの段落の文字数

文章の意味が変わるところで段落を分けるのが基本だが、ブログ(Web)の場合は読みやすさを優先してかまわない。

個人的に、一行ごとに段落を分けているページは稚拙で読みづらく感じるし、何行にもわたって改行・段落のないページは読む気が失せる。

当サイトでは、一つの段落につき 3 行以内を目安としている(約 150 文字)。

アクセントをつけたいときは短めに段落を分けることもあるし、一文の長さによっては 4 行以上になることもあるから、明確なルールとはしていない。

個々の好みもあるので、可能なら複数人に感想をもらうとよいだろう。前述のとおり、読者が必要な情報を探しやすくなっているのが一番だ。

ブログの文字数に関する Q&A

Q

文字数はどのようにカウントすればよいですか?

A

以下のような Web サービス / ブラウザ拡張機能を使うと簡単にカウントできる。

WordPress は、投稿画面の左上にある「i」アイコンをクリックすると文字数を確認できる(半角も全角も 1 文字としてカウント)。

Q

WordPress は投稿の文字数に上限がありますか?

A

実質の上限はないが、使用している環境によっては上限が出てくると思われる。以下の記事によると、10 万文字を超えると不具合が出たようだ。

WordPressで10万文字以上で投稿すると失敗する文字数制限の問題 | 情報技術のまとめ

さいごに

検索エンジンは日々進化しており、だれでもすぐに思いつくような施策はほとんど通用しないと思っていたほうがよい。文字数を増やせば有利になる、というのもその顕著な例である。

ブログ記事はユーザーのためにある。文字数ではなく、以下の 2 点に気をつけてほしい。

  • これぐらいは書かなくてもわかるだろう、と必要な情報を削ってしまう
  • 手間がかかって面倒、という理由だけで詳細な説明を省いてしまう

どのくらいトピックを狭めるのかなど、経験による判断が求められることも少なくない。

ひたすら書いて、読み直して、また書く。とくに初心者のうちは、この繰り返しにより経験値を獲得していくべきだ。やがて、何文字書いたかなどは気にしなくなるし、それより重要なことが他にたくさんあることに気づくだろう。

※参考までに本記事は WordPress のカウントで 6,006 文字だった

Reinx 記事執筆:Reinx 編集部 瀬尾 真

Web 業界歴 20 年の知見と経験をもとに、初心者でも楽しくブログ運営に取り組んでいただけるよう、WordPress や SEO のノウハウを提供しています。Twitter では最新ニュース・小技集を配信中。

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