WordPress には「カテゴリー」と「タグ」という分類がある。両者をきちんと使いこなすことで、ユーザー・検索エンジン共にブログの構造を把握しやすくなり、目的の記事に素早くアクセスしてくれるようになる。
しかし、カテゴリーとタグをどのように使い分ければよいのか、難しく感じているかもしれない。全体の構造がぐちゃぐちゃになっているブログはよく見かける。
本記事では、カテゴリーとタグの違いを解説していく。よくある NG 例を最初に紹介していくので、この機会に見直しておこう。
目次
よくありがちなタグの使い方 NG 例
「カテゴリー」は何となくわかるが、「タグ」はよくわからず適当に付けてしまっている、というブロガーは少なくない。タグを活用すれば SEO に効果がある、といういい加減なノウハウを信じているのか、逆に評価を下げるような使い方も散見される。
以下のようなタグの使い方をしているなら、デメリットでしかない。今すぐ修正しよう。
- カテゴリー名とタグ名が同じになっている
- タグが 1 つの記事にしか付けられていない(タグページを見ても記事が 1 つしか出てこない)
- 似たようなタグが乱立している
NG例(1)
カテゴリー名とタグ名が同じになっている
タグについてよく理解しておらず、「何となく記事内の重要そうな単語にタグ付けしている」ケースは非常に多い。このケースでは、カテゴリー名とタグ名が重複してしまう可能性がある。
ありがちな例を見てみよう。
タイトル
ブログ初心者におすすめの WordPress 人気プラグイン 10 選
カテゴリー
ブログ
タグ
ブログ / 初心者 / おすすめ / WordPress / 人気 / プラグイン
カテゴリー名・タグ名に同じ「ブログ」が設定されている。
もし「ブログカテゴリー」の記事全てに「ブログタグ」が付けられていたら、どうなるだろうか。「ブログカテゴリーページ」を見ても「ブログタグページ」を見ても同じ記事が並ぶだけだ。
これでは分類の意味がなく、ブログ内に同じページを作成しているだけになってしまう。SEO 上では重複コンテンツと判断され、どちらかのページが検索にインデックされない。

「ブログカテゴリー」の一部記事にのみ「ブログタグ」が付けられている場合はどうだろうか。
重複コンテンツとは見なされないかもしれないが、どういう意図でタグ付けされているのか / されていないのか、ユーザーも検索エンジンもわからないだろう。

カテゴリーとタグの重複が検索評価に影響を及ぼしてしまうからと、タグページを noindex にしているブログもある。それは対検索エンジンだけを考えている悪い例で、ユーザーのことを考えていない。
重複ページを noindex にするのではなく、重複ページを作成しないようにするのが理想的だ。
同一名のカテゴリーとタグがないか、チェックしておこう。
NG例(2)
タグが 1 つの記事にしか付けられていない
記事を書くたびに適当なタグを付けていると、「そのタグが付けられている記事が 1 つしかない」という状態になりがちだ。
以下のとおり、記事 A に付けられたタグのリンクからタグページに飛んでも、そこには今読んでいた記事 A へのリンクしかない。

これではユーザーが他の「おすすめ」記事を読みたいと思っても、他のおすすめ記事を発見することはできない。タグのクリックが無駄足になってしまう。
いくつも「おすすめ」記事を書いているならもったいないタグの使い方であるし、他の記事を読みたいと思ってくれたユーザーはそのまま離脱して二度とブログに訪れてくれないだろう。
NG例(3)
似たようなタグが乱立している
過去にどのようなタグを付けていたのか忘れてしまい、似たようなタグが乱立しているケースも多い。以下のタグを見て、違いがわかるだろうか。
人気
大人気
一番人気
おすすめ・人気
「人気」と「おすすめ・人気」の違いがわかるユーザーはいないはずだ。おそらく運営者もわかっていない。
「人気タグページ」には記事が 1 つだけあり、「おすすめ・人気タグページ」には記事が 4 つある、というような形になっているなら SEO 上でもマイナスだ。検索評価が分散してしまい、本来の評価より下げられてしまうだろう。

こうしたタグを 1 つにまとめると、ユーザーは記事を探しやすくなり、正しい検索評価も付けられる。
カテゴリーとタグの使い分け方
NG 例で紹介したような、意味のないタグ付け・タグの乱立は、カテゴリーとタグの違いと使い分け方を理解していれば防げる。
どのようにカテゴリーとタグを使えばよいのか、「書店」に例えて解説していく。
カテゴリーは記事を分類するために使う
店によって多少の違いはあるものの、たいていは目的別に書籍が分類されている。以下のように、「ビジネス・経済」と「コンピュータ・IT」で仕切られているはずだ。

『WordPress 関連の本がほしい』と思っているなら、「コンピュータ・IT」コーナーに行けば見つかりそうだとあたりをつけられる。
ブログもこれとまったく同じだ。
書店 | ブログ |
---|---|
目的別に分類された各コーナー | カテゴリー |
書棚の本 | 記事 |
運営者にしかわからないような分類(カテゴリー)になっていると、ユーザーは迷ってしまう。だれが見てもわかりやすい分類にしておこう。

子カテゴリーでさらに細かく分類できる
書店の各コーナーの棚は、さらに細かく分類されている。
「コンピュータ・IT」であれば、「WordPress」「プログラミング」「データベース」「OS」「DTP」といった形だ。

ブログでも同様の分類が可能で、カテゴリーを親子関係にできる。
書店 | ブログ |
---|---|
目的別に分類された各コーナー | 親カテゴリー |
各コーナーでさらに分類 | 子カテゴリー |
記事が増えてきたら、カテゴリー内を細分化したり、親子関係に配置して整理しておくとよいだろう。

タグはカテゴリーに関係なく記事を探しやすくする目印
ほしい本がとくに決まっておらず、「特定の著者」や「売れ筋」で探すこともあるだろう。
たとえば、『山田太郎氏が書いた本を探している』としよう。
山田太郎氏が WordPress の本ばかり書いているのであれば「コンピュータ・IT」に行けばよいが、占いや資格取得など幅広いジャンルで執筆・刊行しているかもしれない。このとき、各コーナーを巡って 1 冊ずつ探すのは骨が折れてしまう。
大型書店には検索用の端末が設置されていることが多く、ここで著者名「山田太郎」を検索すると、どのコーナーに何の本があるのか、現在取り扱いがあるのか、というのがすぐわかる。
これがすなわち「タグ」だ。
山田太郎氏の本にはすべて「山田太郎」という見えないタグが付けられている、とイメージしてほしい。こうなっていると、コーナーに関係なく山田太郎氏の本を簡単に見つけられる。

他にも「今月の売れ筋」や「500 円以下」といったタグが付けられていると、様々な角度から本を探しやすくなって便利だ。
ブログも同様で、タグはカテゴリーに関係なく記事を探しやすくする分類方法、と覚えておけば間違いない。冒頭で紹介した NG 例は何がよくなかったのか、さらに理解できると思う。

タグは必須ではない
カテゴリーとタグの違いをイメージできただろうか。
ブログの構成にもよるが、「カテゴリーは記事執筆前・タグは記事執筆後」に設定するのがわかりやすいだろう。これから書く予定の記事を大まかにカテゴリーで分類しておき、ある程度記事が増えてきたらまとめてタグをつけていく。

ただ、タグは必須ではないため無理に使わなくてもよい。
なんとなく SEO に効果がありそうだからと NG 例のような使い方をしているなら、いったん全タグを削除したほうがよいかもしれない。タグをたくさん付ければ検索評価が高くなるわけではないし、検索上位に入るためにタグが必須というわけでもない。
アクセス解析を見て、タグページがどのくらい見られているかをチェックしてみてほしい。おそらく、タグページのアクセス数は 0 に近いはずだ。

意外に読まれているタグがあったとしたら、その関連記事を増やしていくと今後のアクセス増に期待できる。
なお、SEO を考えるのであれば、カテゴリーとタグを正しく使い分けた上で両者ともきちんとインデックスさせたほうがよい。「タグページは問答無用で noindex」とは考えないようにしよう。
カテゴリーとタグに関する Q&A
タグを整理するプラグインはありますか?
TaxoPress というプラグインが高機能でおすすめだ。カテゴリーとタグを管理・整理できるだけではなく、サジェスト機能なども備わっている。
自動タグ付け機能・自動リンク機能もあるが、使い方によっては SEO でマイナスになるので使わないほうがよい。
タグの活用方法はありますか?
以下のような活用方法があり、ブログではなくアフィリエイトサイトやポータルサイトなどでも使える。
- タグをもとに記事一覧表示する
- サイト内検索にタグをもとにした絞り込み検索機能を追加する
いずれも、カテゴリーとタグを正しく使い分けていないと期待どおりに機能しない。
タグの数はどのくらいが最適ですか?
タグの数に正答はない。上限は定められていないので、いくつでも付けられる。
これまでの解説のとおり、タグを乱用するのはデメリットにしかならず、個人ブログではまったく使わなくてもよい。
さいごに
カテゴリーとタグをきちんと使い分けると、読者が記事を見つけやすくなる。また、検索評価にも良い影響を与える。
今まで “なんとなく” でタグを使っていたのなら、この機会にぜひ見直しておこう。少なくとも、タグが乱立している状態だけは避けるべきだ。
目的の本を探しに書店に行ったときのことをイメージし、どうすれば記事を探しやすくなるか考えてほしい。ユーザーのことを第一に考えれば、SEO でも良い結果が得られる。
記事執筆:Reinx 編集部 瀬尾 真
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