Google AdSense はブログ収益化と相性の良い広告配信サービスだが、審査が厳しいことでも知られている。初回審査のみならず、アドセンス広告を掲載し続けるかぎり常にチェックされているのを知らないブロガーも多い。
せっかく広告掲載できるようになったのに、バレないだろうと高を括って規約を守らずにいると、広告配信停止・アカウント停止処分になってしまう。どのような行為が NG なのか、規約にはきちんと目を通しておこう。
しかし、公式ヘルプやポリシーページは初心者にわかりづらいのも事実。そこで、本記事では重要な部分をピックアップして、絶対に守っておくべき事項を整理した。基本編・コンテンツ編・レイアウト編の 3 つに分けて解説しているので、困ったときは参照してほしい。
Google AdSense 初回審査になかなか通らない場合の対策は、以下の記事で具体的に解説している。
目次
アドセンスNG集:基本編
まずは Google AdSense の基本的な部分を見ていこう。
#1 広告を自分でクリックしてはいけない
ブログに設置した AdSense 広告を自分でクリックすることは禁止されている。収益目的ではなく、テストのつもりでクリックするのもアウトだ。故意に広告をクリックしないよう十分に気をつけてほしい。
「ついうっかりクリックしてしまった」という場合は、AdSense 側で識別して自動的に収益から除外されるから、1 ~ 2 回程度の誤クリックならばそれほど気にする必要はない。
もし頻繁に誤クリックするようなら、何か問題があるかもしれない。ユーザーがブログ記事を読むのを妨げる配置・大きさになっていないか、確認しておこう。
自分のブログで表示される広告の内容を確かめたいときは、広告の URL を右クリックでコピーし、ブラウザのアドレスバーに直接貼り付けてアクセスすれば規約違反にならない。
管理者のインプレッションが「無効なトラフィック」とみなされるケースもあるため、ブラウザ拡張機能で広告をブロックしておくのが安心確実だ。
ブログ運営者に広告ブロック用ブラウザ拡張機能をおすすめする理由
#2 ユーザーにクリックをお願いしてはいけない
広告の周囲に「クリックしてね!」というようなコメントをつけたり、記事内・メール・SNS で広告クリックを依頼する行為は禁止されている。
アドセンスの初回審査では、ランキングバナーやアフィリエイト広告の近くにクリックを促すコメントがあると、審査に落とされる可能性があるので注意しよう( AdSense 広告に対しても同じように誘導する可能性がある、とみなされる)。
たとえ依頼されていなくても、ブログ運営者を応援するつもりで広告をクリックする行為は NG だ。あくまで「広告に興味を持って自発的にクリックする」ものでなければならない。応援クリックは運営者にも広告主にも迷惑がかかる違反行為、と覚えておいてほしい。
アドセンスNG集:コンテンツ編
Google AdSense はコンテンツの内容を厳しくチェックしている。
コンテンツは、記事本文だけではなくコメント欄・外部リンク・アフィリエイトリンクも含まれる。「ページ全体」「ブログ全体」でポリシーを遵守するよう心がけよう。
基本的に法に反するコンテンツは一律 NG となっているが、具体的なポリシー違反例をいくつか紹介していく。
2019 年 9 月より「Google サイト運営者 / パブリッシャー向け制限コンテンツ」としてポリシーの緩和が行われたが、広告配信の制限につながるため本記事では NG 例として紹介している。
#3 成人向けコンテンツ(アダルトコンテンツ)
AdSense 広告を掲載するページは、だれが見ても問題ない内容であることが基本原則だ。成人向けコンテンツは未成年に見せられないので、確実にアウトとなる。
アダルトサイトへのリンクがあるだけでも NG で、これにはアフィリエイトリンクも含まれる。テキスト・イメージ(バナー画像)を問わず禁止事項となっているため、他社のクリック報酬型広告を併用している場合は気をつけたほうがよい。
どこからどこまでが成人向けコンテンツになるのか、という目安は Google AdSenseのプログラムポリシーガイドブックで以下のとおり説明されている。
サイト全体のバランスを見た時に、そこに性的な意図があるかないかによって判断されます。例えば水着の女性の写真が載っているコンテンツ、というだけでは違反とはなりません。「自分の子供、もしくは近所の子供たちに見せても倫理的に問題のないコンテンツであるか」が基準となります。
Google AdSense プログラムポリシーガイドブック
一例として水着画像の判断基準も同ガイドブックに掲載されている。
過去に広告停止に関する相談が寄せられたとき、Amazon のアフィリエイトリンクでアイドル写真集を紹介していて、その表紙が水着だったのが引っかかった、という事例があった。
最終判断を行うのは Google AdSense であるから、これはアウトかなと思うグレーなものは掲載しないのが無難だ。リスクを覚悟してファールラインを探るようなムダな冒険はおすすめしない。
- 子どもに見せられない露骨な成人向けコンテンツ
- アダルトサイトへのリンク(アフィリエイトリンクを含む)
- アダルトを連想させる表現・画像
- 性行為に関するコンテンツ(医学的な内容も含む)
#4 知的財産権を侵害するコンテンツ
成人向けコンテンツと同じぐらい厳しく規制されているのが、知的財産権を侵害するコンテンツだ。
他サイトの記事をパクるなどのコピーコンテンツはもちろんのこと、商標権に違反する偽ブランドの紹介などは絶対にやめよう。これは AdSense 広告掲載だけではなく、ブログ全体の品質にもつながる。
著作権や肖像権で保護されている画像や動画の使用にも気をつけてほしい。Disney 関連の記事でミッキーの画像を掲載したり、Amazon プライムなどの VOD 紹介記事で芸能人の顔が映り込んでいるキャプチャを掲載するのもアウトだ。
複数画像を取り込んでコラージュ画像を作るなど、何とか規約違反を回避しようとしているブログをたまに見かける。そうした行為は必ずバレるし、規約に反しなければ作れないコンテンツならばブログはやめたほうがよい。
- 著作権を侵害するコンテンツ
- 偽造品や偽ブランドの紹介
#5 中傷的なコンテンツ
特定の個人や団体に対する差別や誹謗中傷が含まれるコンテンツは NG となっている。
炎上目的などでだれかを攻撃するような記事に広告を掲載することは禁じられており、そもそもそうした記事は名誉棄損や侮辱罪に該当する可能性があるので書かないほうがよい。SNS の埋め込みもコンテンツの一部とみなされるから当然アウトだ。
他人を故意に傷つけると、回りまわって自分に返ってくることにもなりかねない。
- 特定の人物や団体を中傷するコンテンツ
- いやがらせや明らかな攻撃を目的としたコンテンツ
#6 危険なコンテンツ
精神的・身体的な危険行為を助長するようなコンテンツに広告を掲載することはできない。これには健康関連も含まれており、科学的に立証されている信頼できる情報と矛盾する内容も NG となっている。
たとえば、風邪の治し方やケガの治療法など、一般的に確立されたものでなければ「個人の見解」と断りを入れていてもアウトになる可能性が高い。自分の記事を読んでくれたユーザーに対する責任があることをしっかりと自覚しておこう。
自分を傷つける行為を勧めるコンテンツなどもってのほかだ。
- 精神的・身体的な危険行為を助長するコンテンツ
- エビデンスのない健康・医療関連のコンテンツ
- 自傷行為などを勧めるコンテンツ
#7 不正行為に関連するコンテンツ
違法なハッキングやリッピングなど、不正行為を助長するコンテンツは NG だ。
DVD や BD のコピーガードを外す方法を書くのはもちろん、それが可能な商品を紹介・リンクするのもアウトになる。個人的に楽しむ分には問題のない方法でも、不正行為として認識されるようなものは書かないほうがよい。
許可なく特定の個人を追跡するための商品として、GPS や隠しカメラなどを紹介するのもおすすめしない。浮気の証拠集めに関する記事などは、知らないうちに違法行為を推奨している可能性があるから十分に注意しよう。スマホのパスコードを突破する方法なども同様だ。
- Web サイトへの不正アクセス手順などを紹介する
- 著作権で保護された製品のリッピング
- 許可なく他人を追跡する手段・商品の紹介
#8 ウェブマスター向けガイドラインに反するコンテンツ
法的には問題なくても、Google が定めている ウェブマスター向けガイドライン に反するコンテンツは NG だ。とくに、明確に手動対策のペナルティとして挙げられている行為は絶対に避けよう。
検索上位表示だけを目的とした薄っぺらい記事ではなく、高品質なコンテンツ作成に取り組んでほしい。読者や検索エンジンをだますようなことをすると、Google AdSense の広告配信が停止されるだけではなく、検索結果にも掲載されなくなってしまう。
- ユーザーが生成するスパム(コメント欄など)
- ガイドラインに反する構造化データマークアップ
- 検索順位操作を目的とした不自然な被リンク
- 自動生成コンテンツ
- 内容の薄い低品質なアフィリエイト記事
- コピーコンテンツ
- クローキングや不正なリダイレクト
- 隠しテキスト
- キーワードの乱用
アドセンスNG集:レイアウト編
AdSense 広告の掲載位置・サイズについては「広告のプレースメントに関するポリシー」が定められている。具体的に禁止されている配置例を見ていこう。
#9 ポップアップ・ホバーウィンドウへの設置
ポップアップ・ホバーウィンドウに広告を表示することは禁止されている。ホバーウィンドウというのは、メールマガジン登録や無料アカウント作成を誘導するサイトでたまに見かける仕掛けのことだ。
個人ブログで採用するケースは少ないが、メニューボタンや検索アイコンをクリックしてページ全体を覆う形で表示されるオーバーレイも含まれる。ウィジェットやカスタマイザーで意図せず配置していないかチェックしておこう。
なお、ポップアップを 4 つ以上表示するサイトでは広告掲載自体が禁止となっている。

#10 誤クリックを誘導する配置
誤クリックを誘導する配置は禁止されている。意図的なものでなくても NG となるため、WordPress テーマやプラグインなどで自動的に広告を表示している場合は注意してほしい。
ドロップダウンメニューが広告上に覆いかぶさるような配置になっていないか、チェックしておこう。
メニューの一部と誤解させるような配置や、前後の記事へのナビゲーションリンク近くに広告を配置するのも誤クリックにつながりやすくなる。

#11 「スポンサーリンク」「広告」以外のラベル
日本では、AdSense 広告の上につける見出し(ラベル)は「スポンサーリンク」と「広告」のみが許可されている。「おすすめ」「NEWS」「PR」などの表記は NG だ。
ラベルは必須ではないが、コンテンツと広告は明確に見分けられるようにしておかなければならない。広告まわりに十分な余白を確保できない場合は、ラベルをつけておこう。
このほか、以下の禁止行為も注意しておきたい。
- 「広告をクリックすると限定記事が読めます」などクリックに対して何らかの報酬を提供する行為
- 矢印を広告に向けるなど、クリックを促すようなデザイン

#12 過度な広告数(ページの30%以上)
かつては「 1 ページにつき広告は 3 つまで」という制限があったが、この規定は 2016 年 8 月に変更され、広告の上限数は撤廃されている。
代わりに「広告の数が配信するページのコンテンツよりも多くならないように」という規定になり、実際にどのくらいの数を上限として設置してよいのかわかりづらくなった。
Google AdSense は「Better Ads Standards」に基づいているから、それを目安として考えよう。具体的には、広告の量をページの 30 %以内に抑えればよい。アドセンス自動広告もこの数値内に収められている。
ユーザーが嫌うオンライン広告12種を定めた「Better Ads Standards」日本語訳 | Web担当者Forum
ページ全体の 30 %というとかなりの量になるから、そこまで気にしなくてよいとは思う。実際に自動広告を使うと、これでもかというほど広告が挿し込まれるはずだ。
全記事で同じ位置・同じ数の広告を掲載するようにしているなら、記事の長さによっては 30 %を超えるかもしれない。500 文字の記事もあれば 5,000 文字の記事もある、というブログでは注意しよう。

#13 広告と他の要素を同時に追尾させる
昔は広告を追尾(固定)させるのは NG となっていた。正確には一部アカウントのみ許可されていたのだが、2019 年 11 月より全アカウントで使用可能になっている。
追尾広告の実装に関するガイドラインと制限 – Google アド マネージャー ヘルプ
広告を追尾させる場合は、以下の条件を満たす必要がある。
- 垂直方向のみ
- 1 ページ 1 枠のみ
- 追尾中に他の要素(メニューや他の広告)と重ならないようにする
- 他の要素と一緒に追尾させない
サイドバーの余白部分を活用して AdSense 広告 1 つを追尾させるのは問題ないが、他のアフィリエイト広告や記事の目次などと一緒に追尾させるのは NG だ。

#14 メインコンテンツを押し下げるレイアウト
ブログを開いたときスクロールせずに見える部分(=ファーストビュー)を広告で占領し、メインコンテンツを押し下げるレイアウトは禁止されている。
「画面の大きさ=ブラウザの高さ」ではない点に注意してほしい。環境によってファーストビューの高さは変わるが、PC 表示では 500 ~ 600 px が一応の目安となる。
Today, the fold no longer refers to an actual fold in a newspaper, but the bottom of a browser window, or approximately 600 pixels from the top of the page.
Above The Fold
※「ファーストビュー」は和製英語のようなもの。英語圏では「Above The Fold」と呼ばれる。
ブラウザの高さを 600px にして自分のブログ記事を開いたとき、記事タイトルやリード文が見えている状態なら問題ない。パソコンだけではなく、スマホでの表示もチェックしておこう。

#15 404ページなどコンテンツがないページへの掲載
コンテンツがないページへの広告掲載は NG となっている。ブログでは以下のページが該当すると覚えておけばよいだろう。
- 404 ページ
- サンクスページ(問い合わせ送信完了画面など)
- 記事が存在しないアーカイブページ
よく見かけるのは、記事が 1 つしか含まれていないタグページが大量にあるブログだ。「コンテンツがない」と判断される可能性が高く、初回審査においては「コンテンツの最小要件」として指摘される。
全ページに共通する要素(ヘッダーやサイドバー)に配置した広告が 404 ページで表示されているケースもよく見かける。WordPress を使っている場合はチェックしておこう。

アドセンスNG集まとめ
Google AdSense のヘルプを隅々まで読んでいる運営者は、実のところそう多くない。違反を指摘されて初めて読んだ、というケースがほとんどだ。本記事で紹介した NG 例のなかにも知らなかったものがあったと思う。
NG にならないポイントは、以下の 2 つに集約される。
- だれが見ても問題のない内容にする
- 読者や検索エンジンをだまそうと思わない
Google AdSense には、Google・広告主・ユーザー・サイト運営者が関わっており、それぞれがメリットを享受する「四方良し」が理想だ。一方のみが利益を得る形は望ましくない。
もし広告配信が停止されてしまったら、すぐに原因を調べて対応しよう。もし対策方法が不明なら、相談してほしい。ブログ運営を楽しみつつ収益化できるよう願っている。
ブログ初心者におすすめの収益化方法はどれ?種類と仕組みを徹底解説
記事執筆:Reinx 編集部 瀬尾 真
Web 業界歴 20 年の知見をもとに、初心者でも楽しくブログ運営に取り組んでいただけるよう、WordPress や SEO のノウハウを提供しています。ブログ診断無料サービスもご利用ください。
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